こんにちは、シロです。
現役で不動産の賃貸仲介営業をしながらブログ執筆をしています。
→何故ブログを始めようと思ったかはこちら 【不動産営業の本音】ブログ執筆で暴露します。
・「敷金・礼金なし」ってどういう意味?
・なんで「敷金・礼金なし」なの?
・そんな物件って大丈夫?
こんな疑問にお答えします。
賃貸物件の「敷金・礼金なし」ってどういう意味か知っていますか?
最近では、敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」も増えてきています。
そんなことはないんですよ。
敷金・礼金なしでも、意外に初期費用が高くつく場合もあったりするんです。
ということで本記事では、「敷金・礼金」のあれこれを解説したいと思います。
お金に関する大事なことですので、ぜひ参考にしてくださいね!
あと、結構長くなってしまったので忙しい方は、目次から気になるとこにジャンプしてくださいませ。
1.そもそも「敷金・礼金」とは?
まずは、敷金・礼金について簡単に説明しますね!
【敷金】
契約時(入居時)に家主に預ける保証金みたいなお金です。
敷金の使い方
- 退去するときに現状回復の費用に充当される
- 家賃を滞納したときに敷金から差し引かれる
こういった用途に使います。
現状回復や借主負担の範囲については下記の記事、参考リンクをどうぞ。
※物件の使用状況等によって異なります。
※民法等に反しない限り特約設定も可。
上記のガイドライン通り、原則「借主負担」以外は退去時に請求されません。
なので、部屋を綺麗に使っていれば敷金は全額返ってくるということですね。
【礼金】
契約時(入居時)に家主に払う「お礼金」です。
これ結構、謎なお金ですよね。
諸説ありますが昔は住宅が不足していたので「貸してくれてありがとう」という意味で、
家主に謝礼金を渡していたのが始まりと言われています。
それが商習慣として現在まで残っているということですね。
まぁ現在は礼金の意味合いも少し変わってきてますので、良ければ下記の記事を参考にしてください。
1-1.相場はいくら?
まず、敷金・礼金の表記の見方ですが、
「家賃7万円・敷金1ヵ月・礼金2ヵ月」
こんな風にネットで掲載されてると思いますが、敷金、礼金は家賃の何ヵ月分という表し方が多いんですよね。
例えば、
「家賃7万円・敷金1ヵ月・礼金2ヵ月」=「家賃7万円・敷金7万円・礼金14万円」
こんな感じです。
敷金・礼金の相場は下記になります。
敷金・礼金の相場
- 敷金→1ヵ月~2ヵ月
- 礼金→1ヵ月~2ヵ月
- 敷金、礼金合わせて1ヵ月~2ヵ月
最近は敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」も増えてきてますね。
詳しい相場やエリアによる違いについては「平成26年度住宅市場動向調査について」が参考になります。
また別記事でまとめるので、良ければご覧ください。
ちなみに敷金・礼金も初期費用の一部なので契約時に支払います。
では、次で「敷金・礼金なし」について解説していきますね。
2.敷金・礼金「なし」の意味とは?
ここまで「敷金・礼金」の意味や相場について簡単に解説しました。
もう分かるかと思いますが、敷金・礼金「なし」とは、
初期費用を支払うときに「敷金・礼金」が必要ないということですね。
残念ながら、そういうわけではないんです。
賃貸物件を契約するときに支払う初期費用は、他にもいろいろあるんです。
賃貸の初期費用
- 保証会社費用
- 火災保険料
- 仲介手数料
- その他の付帯費用
などなど。
詳しい初期費用については別記事でまとめてますので、良ければどうぞ。
「敷金・礼金なし」なら、ざっくり家賃の2.5ヵ月分~3.5ヵ月分ぐらいが初期費用の相場と思ってください。
逆を言えば、「家賃の2.5~3.5ヵ月+敷金+礼金」が一般的な賃貸の初期費用と言えますね!
まだまだ敷金、礼金のどちらかがある物件が多いですが、なぜそれを「なし」にできるかを次で説明していきますね。
3.なぜ敷金・礼金「なし」にできるの?
敷金・礼金がある物件が多い中、なぜそれを「なし」にできるのでしょうか?
これは敷金と礼金を分けて解説しますね。
3-1.なぜ敷金を「なし」にできるのか
これは簡単で、
敷金なしの理由
- 現状回復の費用→「退去後に実費を請求する」
- 家賃の滞納時→「保証会社や保証人に請求する」
こんな感じになっています。
現状回復の費用について
結局のところ、「借主負担の範囲」は敷金があってもなくても変わりません。
→【国土交通省】現状回復ガイドライン(25、26ページの「別表3」が分かりやすいです。)
なので、敷金として「先に払うか」「後で実費を払うか」の違いでしかないんですよね。
また敷金なしで、よくあるのが「定額クリーニング費」の支払いです。
これは相場20,000円~40,000円の定額クリーニング費を先払い又は後払いで払うパターンですね。
ただ注意なのが、定額クリーニング費を払っておいても「借主負担」の現状回復費については別途、請求があります。
家賃の滞納時について
敷金がないということは、自分を保証できる者を用意しないといけないですよね。
なので、「敷金なし」の場合は、
敷金なしの場合
- 保証会社に加入する
- 保証人を用意する
- または保証会社に加入して、保証人も用意する
こういう風に自分を家主に対して保証しないといけません。
3-2.なぜ礼金を「なし」にできるのか
礼金とは家主に対しての「お礼金」なんですよね。
なので使用方法は特に決まっておらず、単純に家主の収入になります。
家主もお金持ちばかりではないので礼金がないと痛いですが、その代わりに、
礼金なしの場合
- 物件の家賃を上げる
- 部屋の設備に力を入れない
- 違約金をつける
上記のような対策を取っています。
このあたりは次で深堀りしていきますね!
4.「敷金・礼金なし」の物件は大丈夫?
結論から言いますと大丈夫です。全く問題ありません。
落とし穴があるの?
退去するときに多額の請求があったりする?
事故物件なのかな。。。
でも、こんな疑問があるかと思います。
一つずつ解説していきますね。
家主の対応が悪くなるのか
家主の対応が悪くなることはないです。
また管理会社が入っていれば家主と直接顔を合わせることもないですよ。
家主の自主管理の物件でも、いちいち誰が「敷金・礼金」を払っているかなんて基本覚えてません。(笑)
事故物件なのか
これは少しだけ可能性があります。
確かに、いわゆる事故物件ならば入居者確保のため条件を下げてるパターンはあります。
ただ事故物件の場合は事前に教えてくれますよ。
なぜなら宅建業法上、事故物件については告知義務があるんですよね。
なので事故物件の場合は物件資料にも記載がありますし、案内時または契約時に説明があるはずです。
でもこれは1つ前の入居者に限ります。
前々回(2つ前以上)に関しては告知義務がないので敷金、礼金は通常通りになってる可能性が高いんですよ。
どうしても事故物件を避けたい方は、
事故物件を避ける方法
- 新築、築浅物件にする
- 不動産屋に聞く
- 物件周辺で簡単な聞き込みをしてみる
- 「大島てる」(事故物件サイト)を参考にする
このあたりが対策になるかと。
退去するときに多額の請求があるのか
安心してください。多額の請求もありません。
「3-1.なぜ敷金を「なし」にできるのか」で説明した通り、敷金があってもなくても「借主負担」の範囲は変わらないんですよね。
なので、敷金がなくても借主負担の範囲だけ請求があります。
→退去時の清算について
4-1.デメリットについて
これも敷金、礼金を分けて解説しますね。
「敷金なし」のデメリット
敷金なしのデメリットは下記になります。
「敷金なし」のデメリット
- 保証会社の加入料がかかる
- 保証人を用意する手間がかかる
保証会社の費用は下記の2パターンがほとんど。
保証会社の費用
- 初回:総賃料の30%~60%、更新料:10,000円~12,000円
- 初回:総賃料の80%~100%、更新料:なし
このあたりは長くなるので別記事で解説しています。よければ下記の記事をどうぞ。
「礼金なし」のデメリット
物件の不利な条件
- 築が古い物件(30年以上)
- 設備が古い
- 付帯費用が多い
- 単身用(1R、1K、1LDK)で1階または4階以上の階段の部屋
- ファミリー物件(2DK以上)で4階以上の階段の部屋
- 駅から徒歩20分以上
- 線路、墓地など避けられる場所が近い
- コンビニ、スーパーが遠い
- 1階がテナントで飲食店の場合
などなど。
上記の条件は「礼金なし」のデメリットというのもありますし、安くなりやすい傾向のある条件とも言えます。
ほかにも、
・家賃が高くなりやすい
・部屋の中が微妙
・違約金が付く
といろいろあったりしますが、こちらも別記事で解説していますのでよければ下記をどうぞ。
4-2.良い物件でも「敷金・礼金なし」はなぜなのか?
スーモやホームズを見ていると、新築や築浅物件でも「敷金・礼金なし」があったりしません?
人気物件なのに、変に安いと不安になるかと思います。
ただ、「とにかく入居者を確保したい方針」の家主なら十分にあり得ますね。
最近では賃貸物件がホント多くて、いかに新築、築浅物件でも結構決まりにくかったりするんですよ。
入居者が見つからないと、家主は物件の建築費が払えません。赤字です。
なので「目先の利益より、とにかく入居してもらって家賃収入を得たい」と考える家主もいるんです。
敷金・礼金なしの人気物件なんて瞬殺ですからね(笑)
また閑散期(4月~8月)は入居者確保のために人気物件でも敷金・礼金が安くなってたりしますよ!
こういう理由で、良い物件でもたまーに敷金・礼金なしがあるんですよね。
5.不動産屋によって敷金・礼金の「金額が違う」のはなぜ?
先程の説明の通り、敷金・礼金は家主の意向によって決まるのが基本です。
なので、可能性として
- 不動産屋が家主の意向を無視している
- 単純な掲載ミス
この2点ですね。
ただ、可能性としては上記の場合はわりと低いです。
よくあるのは「礼金」がバラバラのパターンで、これは不動産屋の収入になってる可能性が高いです。
この広告料の仕組みついては下記の記事をどうぞ。
「お客さんからもらった分だけ」になりますので、不動産屋によって自由に礼金の金額設定ができるわけです。
礼金が安い不動産屋でも他の付帯費用が高い可能性がありますので、とりあえず礼金が安いところで見積りを取るのをオススメします。
6.まとめ 敷金・礼金「なし」と「あり」の違い
長くなってすみません。
以上をまとめますと、
【敷金】
契約時(入居時)に家主に預ける保証金みたいなお金
敷金の使い方
- 退去するときに現状回復の費用に充当される
- 家賃を滞納したときに敷金から差し引かれる
【礼金】
契約時(入居時)に家主に払う「お礼金」
退去時は返ってこない
敷金・礼金の相場
- 敷金→1ヵ月~2ヵ月
- 礼金→1ヵ月~2ヵ月
- 敷金、礼金合わせて1ヵ月~2ヵ月
敷金・礼金「なし」の意味
- 初期費用を支払うときに「敷金・礼金」を支払う必要がない
- 初期費用は「敷金・礼金なし」なら家賃の2.5ヵ月分~3.5ヵ月分
なぜ敷金を「なし」にできるのか
- 現状回復の費用→「退去後に実費を請求する」
- 家賃の滞納時→「保証会社や保証人に請求する」
なぜ礼金を「なし」にできるのか
- 物件の家賃を上げる
- 部屋の設備に力を入れない
- 違約金をつける
敷金なしのデメリット
- 保証会社の加入料がかかる
- 保証人を用意する手間がかかる
礼金なしのデメリット
- 築が古い物件(30年以上)
- 設備が古い
- 付帯費用が多い
- 単身用(1R、1K、1LDK)で1階または4階以上の階段の部屋
- ファミリー物件(2DK以上)で4階以上の階段の部屋
- 駅から徒歩20分以上
- 線路、墓地など避けられる場所が近い
- コンビニ、スーパーが遠い
- 1階がテナントで飲食店の場合
良い物件でも「敷金・礼金なし」はなぜか
- 目先の利益より、とにかく入居者を確保したい方針の家主だから
不動産屋によって敷金・礼金の金額が違う理由
- 不動産屋が家主の意向を無視している
- 単純な掲載ミス
- 不動産屋の収入になっている
こんな感じですね。
敷金・礼金「なし」と「あり」の違いでいくと、
敷金・礼金「なし」と「あり」の違い
- 敷金→「なし」なら保証会社加入、保証人用意の手間がかかる
- 礼金→「なし」なら不利な条件がある可能性がある
最近では人口減少によって、空き家となってしまう物件が増えているんですよね。
その結果、より入居までのハードルを下げるために、敷金・礼金なしのいわゆる「ゼロゼロ物件」が増えています。
なので、変に疑わずに一度内見するのをオススメしますね。
敷金・礼金ゼロのデメリットは別記事で深堀りしていますので、良ければ下記を読んでください。
またこれから内見される方は、下記の契約の流れも参考になるかと思いますので是非どうぞ。
ではでは~